
厳島神社の鳥居はなんで腐食しないのか、海の上で倒れないのか不思議です。
海に浮かぶ姿が美しいことで知られる世界遺産・宮島に建つ厳島神社。
その厳島神社の前には、同じく海に浮かぶ、有名な朱塗りの大鳥居があります。
この鳥居、材質は木でできており、その大きさも相当なスケールなのですが、
なぜ海水の中で腐食しないのか確認してみました。
今回は、その鳥居の構造や鳥居に関する素朴な疑問の数々を1つ1つ詳しくお話ししていきましょう!
もくじ
鳥居は木で作られているのに海水の中でなぜ腐食しないのか!?
厳島神社の鳥居は木で作られているのに何十年も海水の中でなんで腐食しないのかって疑問に思いませんが?
海に浮かぶ鳥居が腐食しないのには、材質にヒントが隠されています。
厳島神社の鳥居は主にクスノキで作られています。
クスノキには、ショウノウと呼ばれる防虫剤にも使われる天然のにおいがあり、これによって、虫がつきにくいといった特徴があります。
また、腐りにくく比重が重く耐朽性や保存性に優れているため、木材家具などを作る際にも重宝される木です。
クスノキは、その樹齢が長いこともあり、信仰の対象として神社仏閣に植林されることも多いのだとか。
まさに、世界遺産・宮島の玄関として観光客を迎えてくれる鳥居にふさわしい材質といえますね。
次に、主柱を脇で支える袖柱に使われているスギは、水に強く、重さが軽いという特徴があります。
海の中に建っているのですもの、「水に強い」というのは、重要なポイントになりますよね。
でもいくら腐りにくい材質の木を使っていても、平安時代からの鳥居がずっと保たれているわけではないんですよ。
海水は塩水ですし、雨風にさらされた鳥居にも傷みが生じます。
現在の鳥居は、平安時代の初代から数えて8代目で明治8年(1875年)に建て替えられています。
それでも、140年余りの歳月が経過しているんですから、やっぱりすごいとしか言いようがありませんよね。
鳥居の朱塗りの赤については、140年も持ちませんので定期的(10年毎くらい)に塗り替えられています。
最近では平成25年に3か月ほどかけて塗り替えが行われました。
厳島神社の鳥居はどうして倒れないの?
まずは、厳島神社の鳥居がどのようなつくりになっているかをご説明します。
- 重さ…総重量で約60トン
- 高さ…約17メートル
- 棟の長さ…約24メートル
- 支柱の周囲…約10メートル
- 材質…主柱の2本はクスノキ・袖柱4本はスギ
これだけ聞いても、「へえ、すごいね、大きいんだねー」くらいの感じで、具体的にイメージできないと思います。
しかし、実際に干潮の時、足元から見上げるとものすごい迫力です!
両手を精一杯広げて、柱を抱っこしても
手が届くどころの話ではないんです。
ちなみに、抱っこというのは、服の汚れを気にしなければ、の話です。
余談ですが、厳島神社の鳥居には観光客が残した小銭がお賽銭のように亀裂部分に挟み込まれていて、フジツボのような貝やコケがいっぱい付いています…(汗)
自分で柱の太さを確認するのは避けた方がいいですね。
そんな大きな厳島神社の鳥居が倒れないのは、海の中に深―く深―く埋め込まれているから??
実はそうじゃないんです。
鳥居はなんと、自身の重みだけで自立しているんです!!
あんな大きな鳥居が、海の中に置かれただけの状態で、立っているなんてビックリ!!
ふつう誰だって、根元を埋め込んでいると思いますよね!?
鳥居は石ではなく木でできていますからね。
なんか浮力が加わって安定しないように思えますよね。
それでも鳥居は、高潮や台風もなんのその!
どうして立っていられるのでしょうか?
実は鳥居には、上の方に柱の上の水平に走っている柱が箱状になっており、
中にはビッシリと砂や石が詰め込んであるんです。
その詰め込まれた砂や石の重さたるや約7トン。
これが重りとなって柱に負荷をかけることで鳥居を自立させているんですね。
この重さと海の深さの関係で十分立ってられるというわけです。
海の中で木は浮力があるので浮こうとします。
このとき海の深さは深くても浅くても浮力は同じです。
一方で鳥居そのもの重さは重力に引かれています。
この重力に浮力がかかっても重力による力の方が大きければ鳥居は浮かずに海の上に立てるということ。
でもこの重さが足りないと台風の大波で倒れてしまう可能性や場所がずれてしまうなんてこともあり得ます。
主柱の基礎には、千本杭という工法が使われており、それぞれの柱には松の杭が打ち込まれています。
鳥居が倒れずに立っているのには、優れた技法が活かされているんですね。
この造りが平安時代から続いているというんですから、いやはや、昔の知恵は立派なもんです。
あなたは厳島神社で結婚式を執り行うことができるのをご存知ですか?
わたしの知り合いは、厳島神社で結婚式を挙げる際に結婚式直前になって鳥居の塗り替え作業が入ったため、布で覆われた鳥居をバックに白無垢姿で写真に残ったことをとっても残念がっていました。
こんな作業中に結婚式が重なるなんて、そうそうめったにないからかえって記念になっていいじゃん!と励ましたのですが、落ち込み方が半端なくてかわいそうだったのを覚えています。
そのくらい鳥居は厳島神社の大切なシンボルになっているんですね。
実は、筆者も結婚式をこちらでしたいと考えたことがあり、厳島神社で担当の方から話を聞いたことがありまして。
厳島神社は、世界遺産に認定され、毎年多くの観光客が訪れることから、災害や風雨で傷んだ箇所をそのままにしておくと危ないとのことで、必要に応じて予定工事の他にも突発的に緊急工事を行うことがあるそうです。
それが結婚式に重なってしまう可能性があることを事前に了承してほしいとのお話がありました。
厳島神社の結婚式の予約は人気があってなかなか取れないんです。
私は1年以上前にもかかわらず、希望の日取りがまったく取れなかったためこちらでは結婚式を挙げなかったのですが、たまたま訪れたときに結婚式をしているのを見かけるとやっぱり素敵!と思ってしまいます。
人力車で乗り付けてやってくる白無垢の花嫁さんと袴姿の新郎の姿は、外国人観光客でなくとも目を惹きます。
ちなみに、筆者はできるだけ結婚式の時間帯が満潮になる日を狙って、潮汐表とにらめっこしたりしていたのですが、やっぱり世の中のカップルは同じことを考えるみたいで…。
桜のシーズンと紅葉シーズンの週末の予約は争奪戦のようでした。(干潮・仏滅・平日という条件が重なった日にちは若干空きがありました。)
もしあなたが厳島神社にお出かけになったときに、偶然花嫁さんを見かけたらラッキー!と思ってお祝いの言葉をかけてあげてくださいね。
厳島神社の鳥居は腐食しないのかまとめ
具体的に厳島神社にいく日程が定まっている人も、なんとなく次の連休で広島行きたいな~と思っている人も、訪問した際は、ぜひ上で述べたことを思い出して鳥居をじっくり見てみてください!
厳島神社は、満潮でも干潮でもそれぞれ違った楽しみ方があります。
満潮なら海に浮かぶ社殿の幻想的な姿をあなたの目で、干潮なら鳥居のすぐそばまで歩いてあなたの足で、しっかりと満喫して、厳島神社の観光をエンジョイしてくださいね!!